今週末の9月12~14日に札幌の北海学園大学で開催される日本鳥学会2025年度大会では、バードリサーチの研究員や嘱託研究員も発表をする予定です。自由集会の企画もあります。また、調査研究支援プロジェクトで支援している研究者の方たちの発表もあります。
タイトルだけですが、ここでご紹介します。大会に参加される方がいましたら、ぜひ、聞きに来ていただけるとうれしいです。会場でお会いできることを楽しみにしています。
なお、講演要旨集は、大会ホームページからどなたでもダウンロードして見ることができます。

日本鳥学会 2025年度大会 講演要旨集
https://osj2025.ornithology.jp/program.html
宣 伝
今回は、札幌のホテルがどこも非常に高く、参加したいけれど宿が取れないという方もいたのではないでしょうか。バードリサーチでは、12月12-14日の日程で鳥類学大会2025をオンラインで開催します。
今回鳥学会の参加がかなわなかった方、鳥学会で発表するけどもっと多くの方に聞いて欲しい方、日々の調査の成果などを肩肘張らずに発表したい方。ぜひ、バードリサーチ鳥類学大会2025での発表もご検討ください。
バードリサーチ 鳥類学大会 2025
https://www.bird-research.jp/1_event/jbraoc.html
ポスター発表
環境が異なるFSC認証林における鳥類の比較と評価
○髙木憲太郎(バードリサーチ)・天野陽介(WWFジャパン)
東白川村FSC認証林の鳥類にとっての価値を評価するために、村内のFSC認証林の異なる3つの環境間で鳥類相の違いを分析した結果を発表します。環境選好性、営巣場所選択、食性をもとに鳥類を分類することで環境を評価する指標化について考察します。
クロサギの越冬期における羽色と採餌行動及び利用環境の比較
植村慎吾(バードリサーチ)
黒色型と白色型の二型があり、二型の割合は地理的に異なっているクロサギについて、羽色による採食行動に違いがあるかどうか調べた調査の結果を発表します。
ヒバリのディスプレイ飛翔高度-ある1個体とその周辺個体の高度の季節変化
〇三上かつら(バードリサーチ)・三上修(北教大)
さえずりながら上昇飛翔したヒバリの高度を、ハンディタイプの距離計を用いて測定し、特定の個体とその周辺個体の関係に着目して、ディスプレイ飛翔の高さの分布と季節変化を調査した結果を発表します。
調査研究支援プロジェクトから
国内におけるケリの非繁殖期のGPS発信機追跡結果
◯小丸奏(興栄C、岐阜大)・藤崎雄大(岐阜大)・田中智・伊藤健吾(岐阜大)
日本国内で1年を過ごすシギ・チドリの非繁殖期の行動を詳細に明らかにした数少ない追跡事例の発表です。4個体を追跡し、半数が繁殖地から20km以上移動し,残りは繁殖地に留まりました。非繁殖期には農地以外も利用している実態を捉えています。
市民参加による渡り鳥の夜間フライトコール(NFC)録音調査の運用と課題
大坂英樹(トリルラボ)・田米希久代(加賀市鴨池観察館)・櫻井佳明(加賀市鴨池観察館)
夜間に渡る渡り鳥のフライトコールを市民参加型調査で調べた3シーズン18サイト計6,470時間の成果と将来的な展開に向けた技術課題の解決についての発表です。
口頭発表
伊豆諸島のカラ類2種の分布は島の大きさで説明できる
○藤田薫(東邦大,バードリサーチ)・藤田剛(東大)
伊豆諸島に生息するヤマガラとシジュウカラについて「種ベース階層モデル」を改変して分析したところ、両種の島ごとの分布の安定性には島の面積の効果が大きく働いており、シジュウカラはヤマガラが通常生息しない小面積の島と、島内にレフュージアのある大面積の島にのみ安定的に分布していることがわかりました。
知床半島における海鳥の繁殖期の生息状況 (1997年から2025年)
福田佳弘(知床海鳥研究会・バードリサーチ)
これまでの調査結果に今年の成果を盛り込んで、北海道で繁殖を確認したウミネコ・オオセグロカモメ・ウミウ・ケイマフリの4種の調査結果を発表します。ウミネコ・オオセグロカモメ・ウミウの3種類の営巣数は減少傾向にある一方でケイマフリは増加傾向にあり、その原因についても考察します。
日本で繁殖するシロチドリの遺伝的多様性・遺伝的構造の把握
〇末石萌乃(信州大院・総合理工学)・峯光一(徳島県庁)・澤祐介(山階鳥研)・守屋年史(バードリサーチ)・佐藤達夫(行徳自然ほごくらぶ)・北村亘(東京都市大)・山下洋平(葛西海浜公園パートナーズ)・吉田祐一(生態教育センター)・西海功(科博)・笠原里恵(信州大)
2018-2025年に沖縄、関東、北海道の3地域で採取された羽根もしくは血液試料から抽出したDNAを用いて、シロチドリの国内集団の遺伝的多様性と遺伝的構造を分析した結果を発表します。ミトコンドリアDNAの分析では、3地域で計13のハプロタイプが検出され、沖縄と関東・北海道の集団間に有意な遺伝的差異が示唆されました。
自由集会
9月12 日(金)
W02:モニタリングサイト1000の20年の調査結果から見えてきた日本の鳥の変化
植村慎吾(バードリサーチ)
W04:カワウを通して野生生物と人との共存を考える(その26)
-カワウ管理、やってみたら意外と○○だった件。-
高木憲太郎(バードリサーチ)
9月13 日(土)
W10:危機対応自由集会(対動物編)
黒沢令子(バードリサーチ)
このほか、W06:新たな局面を迎えた野生鳥類の高病原性鳥インフルエンザとその対策に向けての自由集会において、シンバ・チャンが「野生鳥類と高病原性鳥インフルエンザに関する国際的な支援体制の構築の可能性」というタイトルで発表をしてくる予定です。
それでは、鳥学会に参加される方は、現地でお会いしましょう。
高木憲太郎