東京都立産業貿易センター浜松町館にて開催された「生物多様性がカギ!コメ不足・担い手不足時代の食と農 ~環境保全と持続可能な農業の両立に向けたこれからの直接支払い制度のあり方を考える~」に参加してきました。水鳥の生息環境としての水田は、圃場の大規模な整備や、中干期間の延長、乾田直播農法など、生息条件として厳しいものも多く、食料を確保しながら生物多様性を保全することについて、知見を得るために参加しました。
農業の「環境直接支払い制度」とは、農家が環境保全型農業(例:水田の生物多様性保全、有機農業、化学肥料・農薬の削減など)に取り組む際、コストを公的に支援する制度です。欧州連合(EU)では広く普及しており、日本では2027年に新たに見直した環境直接払い制度が導入される予定です。

100名近い参加者があり、多くの人が参加されていました。基調講演ではEUや英国の制度事例が紹介され、日本の直接支払制度との比較や目指すべき制度が分かりやすく示されました。特に「これまでの農業生産に加え、余力で環境に配慮した農業を行ったことに対して社会が対価を支払う」という仕組みの意義について、納得感のある説明がありました。一方で、説明を聞きながら「対価があっても担い手が不足しているのではないか」という課題も感じました。農家の方々が無理なく取り組める形、協力しやすい制度設計が必要で、生物多様性に配慮した農業が現場で実現されるかどうかは、制度の実効性にかかっていると思いました。
また、現在の環境直接支払制度について、生物多様性にあまり結びつかない活動が選択されやすいことや、効果検証がなされてないなどの問題もあるとのことでした。2027年の制度改正が、生物多様性保全と持続可能な農業の推進につながることを期待したいです。
(守屋)