水鳥じゃないけど?シマアオジなどの陸鳥の保全もEAAFPの対象になるか? 

東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(EAAFP)の対象にシマアオジなどの陸鳥を加えるかどうか議論するための特別委員会設置案が採択されました

バードリサーチではシマアオジをはじめとするホオジロ類を旗印として、草原性の渡り鳥の調査と保全のため、多くのアジア諸国の研究者や自然保護団体とのネットワークをつくってきました。

2024年11月に北京で開催された第2回アジア鳥類学会議(2nd Asian Ornithological Conference)において、70名を超える鳥類学者と話し合い、アジアにおける渡り性陸鳥保全のためのプラットフォーム(協議の場)を設置する必要があるとの提案をとりまとめました。さらにこの提案の内容を、経団連の助成金を受けてバードリサーチが開催を支援した陸鳥モニタリング会議(Landbird Monitoring Workshop; タイ バンコクにて2025年10月14-15日開催)においても、約100名のアジアの研究者と話し合いました。

Landbird Monitoring Workshopの参加者

渡り鳥についての国際連携の枠組みは現在、1)東アジア・オーストラレーシア、2)中央アジア、3)アフリカ・西ユーラシア、4)アメリカの4つのフライウェイを対象としたパートナーシップがつくられています。日本は東アジア・オーストラレーシア・フライウェイ・パートナーシップ(EAAFP)に加盟しており、この協力を開始した主要国の一つです(1994年の釧路イニシアティブ以来)。

当初の目的は、渡り鳥に関する多国間協力体制を構築することでした。1990年代後半に水鳥(特にシギチドリ類、ツル類、ガンカモ類)のネットワークが形成され、徐々にEAAFPへと発展し、現在は水鳥と海鳥に焦点を当てています。各国政府のほか、環境NGOもパートナーとなっており、2年に1度会議が開催されています。2025年11月には、フィリピンのセブ島でEAAFPの第12回パートナー会議(MOP12)が開催されました。

このようなパートナーシップがあるのであれば、シマアオジをはじめとした渡り性陸鳥のために新たな国際連携の枠組みを立ち上げるよりも、すでにあるパートナーシップの中で、陸鳥も対象として位置づけるほうが近道です。

そこで、我々は上述したアジアの鳥類研究者の議論をもとに草案を作成し、MOP12において議案提出(アジアの研究者を代表してパートナー団体である公益財団法人日本野鳥の会から提出)し、議論が行われました。

EAAFP MOP12での議論の様子

議論の結果、EAAFPの保全対象範囲を渡り性陸鳥に拡げる可能性について議論する特別委員会の設置案が採択されました。私たち市民レベルの連携だけでなく、政府レベルでも連携していく体制づくりに向けて、大きな一歩だと思います。

バードリサーチは引き続き、日本野鳥の会や各国の研究者、NGOと連携しながら、シマアオジをはじめとした渡り鳥たちの調査や保全に向けて活動していきます。ご支援をよろしくお願いいたします。

バードリサーチ
代表 髙木憲太郎・嘱託研究員 シンバ・チャン

2025年11月20日23:00まで、国際連携によるシマアオジの越冬ねぐら調査のためのクラウドファンディングを実施しています。

クラウドファンディング
絶滅の危機に瀕しているシマアオジ 彼らのいる景色を取り戻したい
https://readyfor.jp/projects/aureola

環境省 EAAFPサイトとは
https://www.env.go.jp/nature/eaafp/about.html

バードリサーチのシマアオジをはじめとする渡り性陸鳥の調査や保全のための国際連携の体制づくりは、地球環境基金および、公益信託経団連自然保護基金からの助成をもとに実施してきました。日本やアジア諸国で減少している渡り性陸鳥の保護にもつながる活動へのご支援に、心より感謝いたします。