今月のはじめ、松田道生さんとのお別れをさせてもらえる機会をいただきました。松田さんの若かったころの写真の上映や、参加者からのメッセージを聞きながら、決して接点が多かったわけではありませんが、お話をさせてもらったり、プライベートな探鳥の機会に双眼鏡を覗かせてもらったりした時の記憶を思い出しました。思い出す松田さんの顔は、なぜかいつも笑顔。どなたかが話をされていましたが、いつも笑顔だったと。そういう方だったんだなぁと、しみじみ思いました。すてきな時間を作ってくださった発起人代表の安西英明さん、奥さまの松田蘭子さんに感謝です。
その松田道生さんを偲ぶ会で展示されていた著作の中に、思い出深い表紙を見つけました。「野鳥を録る: 野鳥録音の方法と楽しみ方」。今もバードリサーチの事務所の書棚に並んでいる本です。2004年11月の出版。バードリサーチの設立が2004年の9月です。久しぶりに手に取りながら、時の巡り合わせに、ぐっときました。
この本をきっかけに、と言っても良いのではないかと思いますが、前代表の植田が、良い録音機で鳥のさえずりを録音し、興奮して言った「ぴー」の一言をよく覚えています。クリアに聞こえるさえずりに、とても興奮したっ!と。今ではバードリサーチの人気コンテンツのひとつになった「鳴き声図鑑」が生まれたきっかけです。
2007年3月に開催した第2回バードリサーチ研究集会では、松田さんに録音の仕方の講義や、野外実習での指導をしていただきました。バードリサーチのスタートダッシュにお力添えいただいた、ありがとうございましたの思い出です。バードリサーチの会員さんの中でも、鳥の声を録音して調査する方たちが続き、今があります。調査研究支援プロジェクトでも、毎年のように音声を扱った研究の応募があります。バードリサーチに関わるものだけでもこんなに、たくさんのものを残していただきました。松田道生さん、本当にありがとうございました。
一歩ずつ、新しい時を刻んでいかなければいけませんね。バードリサーチもがんばります。新年が鳥に関わる皆さまにとっても、良き年になりますよう。
2025年もどうぞよろしくお願いいたします!