フィリピンのルソン島で、アグロフォレストリー(林の中にいろんな作物を植える農法)農園がどのくらい野鳥の生息地に適しているかの調査を続けています。
昨年4月に調査に行ったときは一日中にぎやかに(早朝だけではなく)野鳥が鳴き続けることに驚いたのですが、今回12月下旬に行ってみると、かなり静か! 年間を通して暖かいといっても野鳥の繁殖期は3-4月がピークなのだそうで、いまごろから徐々に繁殖種が増えていくのではないかと思います。今回さえずりらしい鳴き方をしていたのは、日本の近縁種とちょっと似た鳴き声のフィリピンウグイスくらいでした。
アグロフォレストリーは興味深い農法で、高木とコーヒーノキだけという場所が多いのですが(コーヒーは日陰で育つ植物なので)、この写真の農園は地面にサツマイモがびっしり植えてあり、同じ場所にピジョン豆(木に実る豆です)、その横にショウガ、トウガラシ。斜面にはバナナとコーヒーノキ、斜面の通路脇にはパパイヤにキャッサバと、多種多様な作物がごちゃごちゃに植えられています。全体の景観は明るい林になっていて、こういう場所は野鳥が多い印象がありました。2枚目の写真の、手前にある低い苗木がコーヒーノキです。(神山和夫)
2024年4月の調査報告はこちらです。
持続可能なコーヒー生産は野鳥の生息地を守れるか? | バードリサーチニュース
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