バードリサーチが事務局を担当するシギチドリ類調査は、日本全国の湿地環境の状況をシギチドリの生息状況を通して見ています。神奈川県の海老名市勝瀬には、モニ1000シギチドリ調査の調査サイトがあったのですが、しばらく前から開発が徐々に進み、いよいよ水田部分(湿地環境)がなくなったので、確認してサイトを廃止する予定です。今回状況を見てきました。
間近にビル群がそびえ、畑がわずかに残るのみで、仮設の駐車場や建設現場になっており、大型ショッピングモールになるとお聞きしました。湿性環境はなくなり、シギチドリの渡来場所としては厳しいと判断できます。サイトの南にはまだ水田地帯がありコサギなどを確認できましたが、住宅地や新しい道路に囲まれてきており、街の発展とともになくなっていくのだろうと思われます。
他のサイトでも、都市に近い水田地帯がショッピングモールや配送センターなどの大規模商業施設になっているところがあります。平坦で広いので商業地や住宅地として土地の需要が高く、また「地域未来投資促進法」や「農業経営基盤強化促進法」などの政策による土地転用のしやすさ、水田農業の担い手の不足など、水田とその生物多様性を維持するのはかなり難しい時代なってきたと感じます。
一方で都市部の水辺はレクリエーションや憩いの場所としてだけではなく、気温上昇を抑えたり、水害を緩和する機能も持たせられます。街の景観にうまく取り込まれて(できれば大規模に)残ってほしいですね。


(守屋)