8月3~11日にインドネシアへ行ってきました。今回の旅はトヨタ財団の助成で実施している、持続可能なコーヒー農園で野鳥調査と農家のコーヒー生産の支援をするプロジェクトの一環で、私たちが調査させてもらっているフィリピン・ルソン島のコーヒー農園の農家の皆さんが、先進的なインドネシアのコーヒー農家のようす学ぶことが目的でした。
フィリピンやインドネシアでは森林が次々と野菜畑に変えられていて、日本の農業からはイメージしにくいかもしれませんが、農地開発が森林破壊の主要な原因なのです。このプロジェクトでは、バードリサーチが野鳥の調査を、そしてフィリピンの環境NGO「Cordillera Green Network」が農家の支援を行っています。
さて、今回の訪問先から1カ所ご紹介しましょう。ここはジャワ島のバンドンの南にあるコーヒー農園で、100haの山林で16年前からコーヒーを育てているそうです。この山塊の周囲はかなり畑地として開発されてしまっているのですが、ここの山頂が聖地になっており、聖地と麓までのあいだは「バッファーゾーンで、畑にしてはいけないけどコーヒーは育ててよい」のだそうです。ここは今回の旅の案内をしてもらったKlasik Beansというコーヒー組合の指導で営農がされており、もともと松林だった場所にコーヒーの木のほか、果樹や在来種の木々が植えられ、うっそうとした森になっていました。コーヒーは高木の日陰で育つ作物で、このような多種多様な樹木の下層に2mほどの高さで植えられていました。野鳥の鳴き声も多く聞こえて、よくいたのが写真の Javan Warblerです。案内してくれた地元のバードウォッチャーの方によると、いまの季節はいませんが、ムギマキが越冬するそうです。


こうした宗教上の聖地という理由で利用が制限されている場所は、日本にもないわけではありませんが、フィリピンやインドネシアでは土着の宗教の聖地というのが日本よりも尊重されていて、森林保全を進める人たちがその考えを住民への啓発に利用しているようです。
