最近はじめたカワウの巣の昆虫調査。コロニーにいる昆虫を採集するため、トラップの設置と回収を進めています。先日も、繁殖がおわりつつあるカワウのコロニーで調査を行ってきました。昆虫のトラップは2種類あって、ひとつは衝突版トラップというもの。飛んでいる昆虫はものにぶつかると下に落ちてしまうことを利用するものです。調査地に透明な板を設置して、そこにぶつかって落ちた昆虫を、下につけたコップで受けて採集する仕組みです。コップの中には70%エタノールが入っていて、落ちた昆虫はそのまま固定されます。もうひとつはピットフォールトラップというもの。地面にコップを落とし穴のように設置して、そこに落ちた虫を採集します。


これらのトラップをカワウのコロニーの真下2箇所と、少し離れてコロニーの影響が小さそうな場所2箇所にそれぞれ設置します。1箇所に3個の衝突版トラップ、9個のピットフォールトラップを設置します。まずはコロニーから離れた場所。普通の林の中といった感じです。暑い日でしたが木陰もあって助かりました。

次に、コロニーの中への設置。コロニーの中は、カワウの糞まみれで匂いもします。ところどころに、吐き出された魚も落ちています。カワウは驚いて飛び立つときに胃のなかのものを吐き戻して身軽になって飛んでいくことがあるのです。

それから、ヒナや幼鳥とみられる死体や羽もちらほら。コロニーの中にはこのように糞に魚に死体にと、たくさんの栄養源があるため、色々な虫がわいているはずです。それらの虫の種類や量、さらにカワウの営巣数や繁殖段階との関係を調べるのがこの調査の目的です。
コロニー内は営巣木が弱っているものが多く、日当たりも強くて大変。熱中症に注意しながら作業をしました。

設置したトラップは一晩おいて次の日に回収しました。たった1日で、どのくらいの虫が入ったでしょうか!?
※この後はたくさん虫の写真が出てきます。
まずはコロニーから離れた場所の結果。
ジャーン!


衝突版トラップは小さい甲虫とカミキリムシが少し。ピットフォールトラップはすごい量のダンゴムシとミミズが少し、後は小さいゲジゲジなどが入っていました。ちなみに赤い粉は哺乳類に荒らされないように全てのピットフォールトラップに入れている唐辛子の粉です。
続いて、コロニーに設置した方の結果。

衝突版トラップにはこちらも小さい甲虫が入っていたのと、小さいハエがたくさん入っているトラップがありました。ピットフォールトラップには大きいハサミムシ!
そのほかに、エンマムシ?と思われるものやシデムシの仲間と思われる甲虫、サシガメの仲間などが入っていました。参加者のお一人が昆虫好きということで、教えてもらいながら回収しました。肉食の昆虫が多く、コロニーから離れた場所とは明らかに違う結果で、回収しながら面白かったです。
回収した虫たちは、調査チームの昆虫担当の皆さんにお送りして、分析してもらいます。この数のダンゴムシやハサミムシを調べるのはものすごく大変そうです。。。
また成果が出てきましたらお知らせします。