温暖化に負けない生き物たち ―気候変動を生き抜くしたたかな戦略
(ソーア・ハンソン 著/黒沢令子 訳/白揚社 3,190円)

嘱託研究員の黒沢令子さんが,本日新しい翻訳本を出しました。以下,黒沢さんからの書籍紹介です。

 気候変動は憂慮すべき問題である。と同時に、好奇心をかきたてる事象でもある。

 ストーリーテラーとして定評のある生物学者が、柔軟に変化する動植物の姿を通して、気候変動にどう向き合うべきかを教えてくれる、危機と希望の物語。
https://www.hakuyo-sha.co.jp/science/hurricane/>

 大規模な温暖化が加速している。台風は大型化し、かつてない大雨や大雪が増えていて、気象破壊は現実のものになっている。地球上の生き物は皆、絶滅してしまうのだろうか? そう考えると、気が滅入る。
 しかし、「待てよ、これまでにも気候の大きな変動はあったはずだ。そういう時、生き物はどうやって生き延びてきたのだろうか?」という疑問をもった著者が最新の科学論文を沢山読み込んで、一般読者にわかりやすい事例を挙げて、温暖化する環境に立ち向かう生き物たちの生きざま(生存戦略)を紹介してくれる。例えば、高山の鳥は絶滅のエスカレーターに乗っているのか?どんな生き物が生き延びるのか?その他にも、鳥に限らず、様々な生き物が登場する。
 温暖化の挙句、生き物のお先が真っ暗と考えすぎると、感情という資源も枯渇してしまう。そこで、何を心配すべきかがわかるのは有益だと著者はいう。鳥を始めとして野生の生き物の保全を憂う身にとって、こういう配慮はありがたい。

 Youtubeの「本チャンネル」の「今日発売の気になる新刊」というコーナーで、インタビューを受けた。読んでみたいが、分厚い本を読むのは億劫という人はこちらを覗いてみてはいかが。
https://www.youtube.com/@the-book-channel
https://twitter.com/numabooks/status/1763896270387810392