スズメによる盗蜜 テレビで紹介

バードリサーチに取材があり、12日(金)に放送された日本テレビ「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」で以下のようなクイズが出題されました。

スズメが桜の花をくわえる目的は?
A 巣にする  B 蜜を吸う  C 異性にプレゼント

ここをみておられる皆さんはよくご存知かと思いますが、正解はBの蜜を吸う です!

スズメは嘴が太く短いためか、メジロやヒヨドリのように花の正面から蜜を吸うことができず、萼(がく)を咥えてサクラの花を引きちぎり、その部分から蜜を吸います(写真)。

サクラをちぎって蜜を吸うスズメ(食性データベースより 松下よし子さん提供)

このような行動は「盗蜜」と呼ばれます。花は一般的に、蜜を吸いにきた鳥や虫たちに花粉をくっつけることで花粉を運んでもらうことができますが、スズメがサクラの蜜を吸う方法では花ごと引きちぎられる上にスズメに花粉もつきません。蜜だけ吸い逃げ、ということで盗蜜 と呼ばれているようです。

スズメが盗蜜した後には、ちぎられたサクラの花が地面に落ちています。地面に落ちた花を調べることで、スズメがサクラの花を落とすことがどのくらいサクラにとって影響があるのかを定量化しようという研究がバードリサーチ誌に掲載されています(三上・三上 2010)。

花が自然と落下したものとスズメに引きちぎられたものは、見た目で識別できるそうです。研究ではこのことを使い、サクラの木の下で落ちている花を拾って、スズメによるものか自然落花したものかを判別することを20回繰り返して記録を取りました。得られた記録から換算すると、1本のサクラの木につく数万の花に対してせいぜい100個くらいが盗蜜されるようで、スズメによるサクラへの影響はごくごく小さいようです。

この研究を発展させた研究でも、調査をおこなった公園全体のうち最大でも0.5%がスズメによって盗蜜され落とされているという結果で、やはり被害はごく小さいようです(松井・三上 2019)。
東京のソメイヨシノは終わりかけですが、まだまだこれからの場所や品種も多いと思います。サクラの下でお花見弁当を食べながら、スズメのお食事も観察してみてください。できたら食性データベースへの登録もお願いします(自由記述欄に品種も書いてもらえると嬉しいです)!

参考文献(クリックすると論文のpdfが開きます)
三上修・三上かつら (2010) スズメの盗蜜によるサクラへの害を定量化する方法. Bird Research 6: 11–21.
松井うみ・三上修 (2019) スズメの盗蜜行動によってサクラの花はどれくらい落とされるのか?. 日本鳥学会誌 68: 327–333.