ドバトの採餌 キジバトの採餌

4月になって、昼休みに事務所近くで何度かドバトの採餌を観察して食性データベースに登録しました。肉眼で見えるしスマホで撮れる距離にいるので、じっくり観察するのが楽しい鳥です。

駅前の植え込みで草を食べるドバト。事務所がある国立駅前は東京にはめずらしくゆったりとした植え込みや花壇がある。写っているパンジーをドバトが食べているのを見たことは今のところなく、周りに生えているミドリハコベなどの雑草を食べている。

ドバトの採餌情報は40個たまったので簡単にまとめてみました。ドバトとしての記録とカワラバトとしての記録の両方を一緒にしています。

月別のドバトの食性(「不明」の記録を除く)
月別のドバトの採餌場所(登録項目の「捕食の瞬間に餌生物がいた/あった場所」)

まだまだ情報がない月もありますが、ドバトの食性は「不明」の記録を除くと植物と加工食品だけが記録されていました。加工食品がそこそこ多いのが特徴です。植物のうち「木」は、地面に落ちた木の実を食べている例が多かったです。動物の採餌記録は今のところありませんでした。ちなみに、加工食品は大体がヒトの食べこぼしや餌やり(推奨しません)ですが、食性データベースに届いているヒトの食べこぼしを食べていた鳥は他にスズメ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ムクドリくらいで意外と限られています。
 採餌している場所を見てみると、年間を通じて地面などの上での採餌が多いですね。植物の幹などでの採餌は、ムクノキにとまって果実を食べている例などでした。

身近なハトということでキジバトの採餌内容も同じようにまとめてみました。

月別のキジバトの採餌場所(登録項目の「捕食の瞬間に餌生物がいた/あった場所」)

採餌している場所は、ドバトと比べると植物の幹などの上で採餌をした例が多く集まっています。ドバトと似た場所にいることも多いキジバトですが、採餌環境は棲み分けているのかもしれないですね。

キジバトの記録は29件とドバトより少ないですが、餌種はほとんどが植物のうち「木」でした。「草」の記録も、ヨウシュヤマゴボウといった大きな多年生草本の果実を食べた例やイネにつかまって米を食べた例などで、いわゆる雑草を食べた記録は今のところありませんでした。

ドバトもキジバトも、餌種が「木」であったものは種子や果実を食べています。食べた木の種子や果実の種類と記録回数をリストにしてみるとこんな感じです。

ドバト(計15回の観察で8種)
5回 … ムクノキ
3回 … エノキ
2回 … イボタノキ
1回 … ケヤキ、シラカシ、コナラ、ウバメガシ、ハルニレ

キジバト(計17回の観察で13種)
4回 … ナンキンハゼ
2回 … エゴノキ
1回 … ケヤキ、アカガシ、シラカシ、カエデ、コナラ、エノキ、モッコク、ムクノキ、モモタマナ、カラスザンショウ、センダン

ドバトの方が少ない種数で偏っているようですね。餌の多様度を測るために、シャノン・ウィナーの多様度指数という値を計算してみました。値が高いほど多様なものを餌にしているという値です。計算してみると、ドバト 2.68、キジバト 3.74 と、上のリストから明らかですがキジバトの方が多様なものを餌にしていることがわかります。ドバトではムクノキとエノキが多いのに対して、キジバトはナンキンハゼの他、より色々な種類の植物を食べているようです。ドバトは「住宅地、市街地、個人の敷地内の庭など」や「街路樹」での記録が多いので、生息環境にある実のなる木の種類がそもそも少ないことを反映しているのかもしれません。
まだまだ記録数が少ないので、今後もっと情報が集まると傾向が違って見えてくるかもしれません。多くの場所、季節からの情報をお待ちしています。