北海道十勝地方で、ガンのねぐらを自動撮影しました

モニタリングサイト1000ガンカモ類調査は主要なガン類のねぐらでカウントをしていますが、北海道の十勝地方ではねぐらの位置がよくわかっていないこともあり、採食場所になっている草地や畑地を調査地にしています。十勝地方は春と秋にオオヒシクイ、マガン、ハクガン、シジュウカラガンが利用する一大中継地なのですが、広い地域に何カ所もの水域があるため、人が張り込んでガンのねぐらを確認することが難しいのです。

そこで、この地域のねぐらを特定しようと、本格的な飛来が始まる前の今年の9月下旬に、ねぐらになっている可能性がある数カ所の湖沼にトレイルカメラを設置しました。トレイルカメラは動くものがあると自動で撮影するという使い方が普通ですが、毎日一定の時間帯に撮影するという機能も備えています。ガン類は日の出前後に飛び立つので、うっすら明るくなる日の出の30程前から日の出の少し後までを撮影するようにタイマーを設定しました。

この沼はハクガンのねぐらになっていました。カメラの近くにいるので、きれいに写っています。手前が明るいのはカメラの赤外線フラッシュです。フラッシュはハクガンの群れまでは届いておらず、群れは夜明けの薄明かりで写っています。

次は沿岸部にある十勝川のわんどです。ガンは流れがある河川はねぐらに使いませんが(中州をねぐらにすることはあります)、流れのない場所なら河川もねぐらに利用します。群れの位置が遠くて形からは判別できませんが、日の出後の写真には写っていないことと、日中に撮影した写真に写る水鳥(おそらくカモ)はもっと小さいことから、ガンの可能性が高いと考えています。

3カ所目は木の枝に縛りつけていたカメラの向きが変わってしまい、かろうじて水面が写ってはいたのですが、このあと再び向きが変わって撮影ができなくなっていまいした。水鳥の姿は不鮮明ですが、首が長いことや、お尻が少し白っぽいことから、ガンかもしれないと思います。

写真からねぐらだと判明した湖沼には複数のカメラを取り付けて、個体数の把握をしていきたいと考えています。ねぐらの予備調査と撮影では、モニタリングサイト1000の十勝調査チームの皆さんにお世話になりました。そして城石一徹・麻央さん、及川樹也さんにはカメラの設置・回収に同行していただきました。感謝申し上げます。

ご参考までに、使用したトレイルカメラは「Bushnell トロフィーカム 24MPプライムCOMBOローグロウ」です。(神山和夫)