2024年6月うしお丸での海鳥目視調査に参加してきました(1/2)

嘱託研究員:三上かつら

このたび,北海道大学水産学部附属の練習船「うしお丸」に乗船し,海鳥の目視調査に参加する機会を得ました.日程は2024年6月27日から6月30日まで,函館港を出港し,利尻島の近くまで行って戻ってくるという旅程です.私(三上)は2024年3月まで北大水産の資源生態学研究室で非常勤の学術研究員としてもお世話になっていたのですが,助教のティエボ先生から「洋上風発の建設予定がありそうな場所を考慮した航路設定ができるかもしれない」といった話があり,小樽湾などの近況をお話ししていたところ,現実にそういったエリアが航路に組み込まれることになりました(もちろんそれだけではなく,ほかのプロジェクトチームの要望と調整のうえで総合的に判断されたものです).せっかくの機会ですので,目視調査に参加させていただくことになりました.

目視調査のメンバーは,ティエボ先生,学生のOさん,Kさん,Yさん,私の5名.このなかで私が一番年上ですが,海鳥に関しても航海に関しては一番のひよっこ.航路での鳥の観察は探鳥旅行や探鳥会で何度か経験があるという程度です(この分野では素人です).無寄港で5日間(天候を考慮し結果的に4日間になりました)の航海,何もかも初めての経験で緊張しますが,やるしかありません.勉強させていただきます.

1日目(6月27日)函館→津軽海峡→桧山沖

午前9時に出港し,まずは距離をはかる目安につかう“スティック”を作りました(スティック法については風間2011など).よろしく相棒(スティックだけに).

しばらくカモメ類やミズナギドリ類を見たのち,昼食(豚丼)をとり,すぐにまた観察デッキに上って海鳥を見始めたのですが,ここで急激に船酔いし始めてしまってダウンしました(さよなら豚丼).いままで船で激しく酔ったことがなかったのですが,百戦錬磨のティエボ先生がくださった持ち物リストに「酔い止め(アネロンがおすすめ)」とあったので,念のため出発前日に急いでこの薬を買いにいったのは正解でした.非常によく効きました.

2日目(6月28日)桧山沖→利尻沖→焼尻沖

外洋をひたすら北へと進みます.この日の朝4時半から6時くらいまでの間が最も「いいかんじ」で,ハイイロウミツバメやクロアシアホウドリなど10種の海鳥を観察できました.早起き万歳.朝食後くらいから少しずつ霧で視程が狭まってきて,昼前に利尻沖に着いたころにはだいぶ世界は白くなりました.そこ(利尻沖)で,調査のためなのか単なる方向転換なのかわかりませんが,船がヨー方向へ複数回の転回,さらに波も高くてロールとピッチの揺さぶりも加わり,急激に「無理」になりまして,用意してあった昼食に手をつけることもできずアネロンを飲んで寝ることに.

…目覚めるとすでに夕方で,船は当初の予定を変更し,焼尻島の近くに錨をおろしていました.甲板に出ると,学生やスタッフさんたちが空を舞うアマツバメや天売に戻るウトウ,ぷかぷか浮かぶケイマフリなどを撮影していました.なお,この日の午後の観察では巣立って間もないであろうウトウの幼鳥がよくみられたそうです.

焼尻島に沈む夕日と穏やかな海と(写真左)、ウトウの幼鳥(Oさん撮影)(写真右).焼尻の隣にある天売島には30~40万つがいともいわれるウトウのコロニーがあります.
陽が落ちると,船の明かりのまわりにオオセグロカモメやウミネコが集まってきました.

3日目、4日目の報告に続く・・・