続 2024年6月うしお丸での海鳥目視調査に参加してきました

嘱託研究員:三上かつら

1日目、2日目から続く

3日目(6月29日)焼尻沖→留萌沖→小樽湾→桧山沖

出発後,おおむね水深50mラインを目安とした航路で南へ進みます.アネロンを飲むタイミングもつかめてきました.

観察デッキから海鳥を探し,鳥が船から300m内にいたら,声に出し,パソコンに直接入力していきます(Oさん撮影,左からティエボ先生,三上,Kさん).船でつかっていたパソコンに入っている鳥記録用のソフトウェアは,リアルタイムの位置情報や気象情報を同時に記録できて便利(写真右).

出会う海鳥を識別するとき,大きさ,形,模様はもちろん手がかりになるのですが,翼や体の動かし方も大事なポイントであることも教わりました.こういうのも海鳥判別用のモデリングをするとしたら外せない変数だろうな(もう誰かやっていそうですね).AI-MIKAMI(=私)にももっと教師データを喰わせなくては...そうこうしているうちに船は石狩湾内へ.

石狩湾新港の沖に並ぶ洋上風力発電施設.石狩市沖,岩宇・南後志地区沖,島牧沖などほかの「有望地域」と異なり,「港湾区域内」の施設として建てられたもよう.

前日の外洋航路ほどの種数は出ないものの,貴重なデータをとっているという責任を感じながら観察を続けます.小樽湾に入ってしばらくしたころ,へんな形の黒いものが潜った?と思ったら再び出てきて,水面より上にその黒光りする半身をぐわっとひねらせました——オットセイです.津軽海峡で何度かお昼寝中のオットセイをみたことはありましたが,こんなに間近で動きのあるやつを見たのは初めてです.オットセイもそうですが,海鳥たちもこんなに近くで見たのは私にとって初めて,というものが多かったです.

夕方まで甲板で鳥を観察したあと,寝る前にお茶を飲みつつ(ビールを楽しむ方もいらっしゃいました),ほかの研究チームの方も交えて歓談などできて,和やかな時を過ごしました.

4日目(6月30日)檜山沖→函館(帰港)

最終日も早朝から観察.カモメ類やウトウ,鯨類のブロー(15頭くらいいた!),マグロなどを見つつ,檜山沖を南下していきます.短時間でまっすぐ何十キロメートルも進んでいく間には,なだらかな波の場所もあれば,白波が立ち風が帽子を飛ばしそうな場所もあり,またそれを過ぎればまた白波がおさまり,そうかと思えば薄い金属板を置く直前のたわみのような穏やかな海面になったりして,この時間感覚,スケール感覚はなかなか陸では味わえないな,船に乗せてもらってよかった,と思いました.Yさんがウミスズメを見つけてくれたのも良き.

檜山地方から松前にかけて,陸上の風力発電施設をたくさん見かけました(写真左).大きいのも小さいのもいつのまにかずいぶん増えたもので,まるで風車が繁殖しているかのよう.プラスチックごみにもたくさん遭遇しました(写真右).

11時前に観察を終了し,お昼をいただきました.最後はやはり(?)カレーでした.居住空間と共有スペースの片付けと掃除を一通りやり終えた頃,窓の外には函館山が見えてきました.

函館よ,私は帰ってきた!

そしてお昼ごろに港に到着.終わってみればあっという間の航海でした.海鳥の詳しいリスト等はいずれ公式な形で発表されると思いますので,本報告では簡単に触れるにとどめました.ご容赦ください.今回,余席利用という形で乗船を許可いただいたうしお丸関係者の皆様,スタッフの皆様,たくさんのことを教えてくださった北海道大学水産科学研究院のティエボ先生,Oさん,Kさん,Yさん,および我が家族にこの場を借りてお礼を申し上げます.