倒木とキツツキ モニ1000富士調査2回目

 先月、富士の演習林にモニタリングサイト1000の今年の繁殖期2回目の陸生鳥類調査のため、行ってきました。この調査では、5つの調査スポットで10分間のスポットセンサスを行うのですが、スポット間の移動中、根本付近で折れて他の木にもたれかかるように斜めに倒れかかっている木の下を通ります。演習林からは状況の説明を受けましたし、通路上には看板もありました。地面には、それより以前に倒れたであろう木も適度な長さに切られて沢山転がっています。

 こうした朽ちた木には、キツツキたちの食物となる虫がたくさんいると言います。そのせいでしょうか、AからEまでの5地点のうちでも倒木が多い印象のあったBからDの区間では、調査中もスポット間の移動時も、キツツキたちの声や姿がよく目に留まりました。この日はアカゲラが鳴いていると、アオゲラが寄って来て様子を見守り、別の地点でアオゲラが鳴いていると今度はアカゲラが寄ってくる、という次第で両種間のコミュニケーションをじっくり観察することができました。どちらのパターンでも、鳴いている個体の数本隣の木まではやってくるものの、もう一方の種は様子を見守っているかのようなそぶりで、歌合戦をしかけたり、取っ組み合うなんてことはしませんでした。彼らは、さて、何を見極めようとしていたのか・・・。全国鳥類繁殖分布調査でもキツツキの仲間は分布が広がっている*1ことがわかっています。今後の両者の関係が気になった一日でした。

富士の調査地で撮影したアカゲラ(左)とアオゲラ
幹を少しずつ登りながら鳴いていたアオゲラが、途中で飛び去っていきました。飛び立ったあと、声のテンポが変わります。

*1 全国鳥類繁殖分布調査 各種鳥類の分布図(1990年代との標高比較)